VICENZA
ヴィチェンツァ
2019.06.08、2019.12.29-30

<概要>

 Vicenza(ヴィチェンツァ)はVenetoにある人口約11万人の都市です。ルネサンス期の天才建築家Andrea Palladio設計の建物が並び「パッラーディオの街」と称される美しい町並みはユネスコの世界遺産「ヴィチェンツァ市街とヴェネト地方のパッラーディオのヴィッラ」の一部として登録されています。

 Vicenzaの先住民は紀元前3-4世紀頃にガリア(現フランス)に征服され、紀元前157年には古代ローマに支配されました。西ローマ帝国崩壊後はさまざまな民族の支配を受けます。489年に東ゴート王国の支配下に入り、ついでランゴバルト人、フランク王国の主要都市の一つとなりました。6世紀にはベネディクト会の修道院建築が多く建てられています。

 16世紀には後期ルネサンスの天才建築家Andrea Palladio設計の独特の建物が建てられその貴重な遺産を現在に遺しています。二度の世界大戦で大きな被害を被っていますが、1950年に始まった経済と工業の発展でイタリアで最も裕福な街の一つとなりました。

2019.12.29-30

<ホテル>

 ホテルはZ.T.L.(Zona Trafico Limitato)という通行制限区域内にあるのでその外側にある小さな駐車場に空きを見つけて一旦駐車します。最大2時間までしか駐車できないので、荷物だけ持って5分ほど歩いてホテルにチェックイン。フロントで車のことを聞かれたのでViale Eretenio沿いの小さな駐車場に停めたことを告げると、そこはホテルの駐車場にも指定しているといって終日駐車できるカードを貸してくれました。車に戻ってダッシュボード上にカードを置いて、これでもう明日まで心配無用です。ホテルは4つ星で立派で豪華なホテルでした。

Antico Hotel Vicenza
Stradella dei Nodari 5, 36100 Vicenza, +39 0444 157 3422
EUR115/night (incl. Tax and BF)

 ホテルに戻って気が付いたのですが、ホテルのすぐそばにVicenzaで最大の見所Basilica Palladiana(パッラーディオのバジリカ)がありました。


ホテルの入口

ホテルの目の前にBasilica Palladiana(パッラーディオのバジリカ)
<見所>

 ちょっと町中をお散歩します。今年6月に一度来ているので、前回あまり行っていなかった町の北西側を歩いてみました。 Corso Antonio Fogazzaroでワイン専門店を見つけたので地元Colli Bericiのオーガニックワイン生産者Alessandro Pialli氏のPIALLI BARBARANOと地元白ワインを1本購入しました。


Campanile della Cattedrale

San Danieleのハム!

Chiesa di San Lorenzo(サン・ロレンツォ教会)

ロマネスク様式のティンパヌム

身廊

Corso Antonio Fogazzaro

この通り沿いにも古代ローマの遺構があります


この通り沿いにも古代ローマの遺構があります


この通り沿いにも古代ローマの遺構があります

Parrocchia di Santa Croce ai Carmini

立派な館があちこちにあります
 町の中心に戻ってきました。今夜のレストランの場所を再確認し、Basilica Palladiana(パッラーディオのバジリカ)付近を散策しました。 Casa Pigafetta(ピガフェッタの家)という館がありました。Ferdinand Magellan(フェルディナンド・マゼラン)の世界一周艦隊に同行して航海記録を取ったイタリア人Antonio Pigafettaた人物の館です。ひときわ優雅な装飾が目立っています。ちなみに、Ferdinand Magellan(フェルディナンド・マゼラン)はマゼラン艦隊(約270人)を率いて1519年にスペイン・セヴィーリャを出港し、アフリカ最南端喜望峰を通過して世界一周した人物です。でもMagellanも含めた大部分は1521年にフィリピンの戦闘で戦死しており、残りの艦隊(18人)が1522年にスペインにたどり着きました。

Al Pestello、今夜の食事はここで

Palazzo Thiene(1542年)

冬はPiazza della Biadeにスケート場が設置されるらしい

Daliの絵画の実体化像


Casa Pigafetta(ピガフェッタの家)


Casa Pigafetta(ピガフェッタの家)
 夕方、再度ホテル前のBasilica Palladianaの周囲を散歩して豪華で凝ったイルミネーションを楽しみました。広場には露店もたくさん出ていて大勢の観光客が集まっていました。一方、裏通りのイルミネーションは簡素で、歩いている人も少ないのでむしろ厳かな雰囲気でした。

Basilica Palladiana周りのイルミネーション

Basilica Palladiana周りのイルミネーションす

逸品、ラヴィオリ

これもDaliの絵画の実体化像

屋台用の庇を持つ専用自動車

久は自動的に畳まれました

Piazza Delle Erbe

Andrea Palladio像

裏通りの簡素なイルミネーション

<レストラン>

 さて、今回の旅のメインイベントの一つAp Pestelloでの夕食です。6月にここに来た時にランチ時間に立ち寄ったのですが、素材にこだわった薄い味付けの丁寧な料理に感嘆し、再度夕食に来ることを決めていました。今回の旅では当初AnconaからRavennaへ行く予定でしたが、ここで夕食を取りたかったので足を延ばしてVicenzaまでやってきました。出発の3週間前に予約の電話を入れたのですが、あまりにも先の予約だったのでお店の人が「ワォ!」と言って驚いていました。ちゃんと予約があるか心配でしたが、そこはキチッとしたレストランなので大丈夫でした。

 最初に炭酸水をオーダーして、Antipasto(前菜)に 前菜は牛タンサラダをお願いしました。軽く茹でた牛タンはさっぱり臭みがないのすが、牛タンそのものの香りと味ははっきりとわかります。この感じがこのレストランの特徴です。不快な臭みを抑えながら素材本来の味わいを薄味ででしている。ちょっと苦いVenetoの赤チコリが下に敷かれておいるので飽きることなく食べられます。Primo Piatto(第一の皿)はパスタ。Bigoli(ここではBigoiと言ってます)のRaguソース。讃岐うどんのように太くて腰の強いスパゲティです。Primo Piatto(第二の皿、つまりメイン)は二品。牛肉のTagliata(薄切り肉のグリル)と羊のロースト、ポレンタ添えです。どちらも薄味で素材の味が品よく楽しめます。Contorno(付け合わせ)に季節野菜のソテー。地元の赤ワインを選んでもらったら、今日ワイン専門店で購入したオーガニックワイン生産者Alessandro Pialli氏のワインでした。私がEUR22.00買ったPIALLI BARBARANOの格下でEUR12.00くらいでお店で売っていたようですが、ここのレストランでもEUR18.00で出していました。パリだとワイン店の2〜3倍はするのですが。ちなみに、Alessandro Pialli氏はJETRO(日本貿易振興機構)でも紹介されていました。最後にエスプレッソ2杯をオーダーして全部でEUR95.00でした。

Al Pestello - Bottega Storica 1910
Contra Santo Stefano, 3, 36100 Vicenza VI
+39 0444 323721


前菜は牛タンサラダ


PrimoはBigoli


Secondoは牛肉のTagliata

もう一つSecondoは羊のロースト


Contorniは季節野菜のソテー


地元ワインPIALLIのTAI ROSSO

2019.06.08

<見所>

 旧市街を東西に貫く小さな通りCorso Andrea Palladioがメインストリートで、この建物の両脇に多くのPalladioの建築物があると同時にブランドショップなども建ち並びとっても豪華で賑やかです。学生っぽい若い男女が多いのですが、大学でもあるのか、町がお洒落なので近郊から若い人達が集まってくるのかなって感じです。

 Corso Andrea Palladioの半ばで南側に曲がってゆくとPiazza dei Signori Vicenzaに出ます。ここに出るとPalladioの代表的な建築物Basilica Palladiana(1549-1617)がひときわ目を引きます。真っ白な二段の柱廊を有する壁と緑の屋根、そしてその大きさに圧倒されます。元は15世紀の建物があり、その周りにPalladioが得意の柱廊アーチの二重外壁と逆船底状の緑の屋根を追加しました。Basilicaとはローマ時代の公会堂ですが、この時代では裁判所の意味で利用されていたようです。

 Basilica Palladianaの横にはレンガ色の細いTorre Bissara(12世紀の時計塔)が立っておりその線の細さがBasilica Palladianaとは対照的なのでより印象的です。Piazza dei Signori Vicenzaの北側にはLoggia del Capitanio(旧 ヴェネツィア共和国の総督官邸)があります。やはりレンガ色の優雅な建物ですが、Palladio未完の作品です。Basilica Palladianaの南から反時計回りに建物を周回してゆくとTorre del Tormento、Parrocchia di San Michele detta dei Serv、 Piazza della Biadeへと続いて視界に入ってきます。どれも素敵な建物ばかりですし、この辺りはカフェも多く多くの観光客がのんびりと景観を楽しんでいます。

 Basilica Palladianaから南に行くと穏やかに水が流れるFiume Raterone(ラテローネ川)に出ます。川沿いや橋の風景はとても美しいのですが、残念ながら川の水そのものは濁っていてあまり綺麗ではありませんでした。


Corso Andrea Palladio


Corso Andrea Palladio


Piazza dei Signori Vicenzaの南側(右)にあるBasilica Palladianaと奥にTorre Bissara

Piazza dei Signori Vicenzaの北側(左)にあるLoggia del Capitanioと奥にTorre Bissara


裏通りにも彫刻の美しい建物


裏通りにも彫刻の美しい建物

Torre del Tormento

Parrocchia di San Michele detta dei Servi

Piazza della BiadeからPiazza dei Signori Vicenzaを望む

Chiesa di San Gaetano


Fiume Raterone(ラテローネ川)にかかるPonte Saint Michele(17世紀の石橋)


ベランダのお花が奇麗です

<レストラン>

 ちょうどお昼でお腹が空いたのでレストランを物色。あまり時間をかけて食べるつもりもないけれど、ツーリスティックなやっつけ料理も好きじゃないので、メインストリートCorso Andrea Palladioや名所Basilica Palladianaの周囲から離れた場所でお店を物色していたら、Basilica Palladianaの北側の静かな通りで良さそうな一軒を見つけました。

Al Pestello - Bottega Storica 1910
Contra Santo Stefano, 3, 36100 Vicenza VI
+39 0444 323721

 入ってみたら予想外にフォーマルな感じで、ミシュランガイドでも紹介されているキチンとしたお店でした。席について、昼なのでパスタ一皿しかオーダーしないこと、車の運転があるのでワインはオーダーしないことを告げてましたが、スタッフはいっこうに構わない様子でした。極太パスタのBigoliを注文したら25分くらいかかるが良いかとわざわざ聞いてくれました。最初にフォカッチャとパンを持ってきたときも地元小麦やBIOにこだわったものであることを丁寧に説明してくれます。ラヴィオリは上にのせているハーブと共に食べるように味を調節しているので追加の調味料は使わずに素材を味わって欲しいと行って出してきます。 もう一皿は素直に赤身鶏肉の風味がする薄味のパスタ。どちらもフルコース料理を想定したPrimi Piattoの量であって、あまり多くはありませんでした。これはランチではもったいない。機会があれば是非Dinnerに来てみたいものです。ちなみに、これに炭酸水とエスプレッソ2杯をオーダーしてeur40でした。


Al Pestello - Bottega Storica 1910


地元小麦にこだわったパン、フォカッチャ


逸品、ラヴィオリ

素直に赤身鶏肉の風味がする薄味のBogoli(パスタ)


店内は近郊のRotondaの風景画

<見所>

 昼食を終えてCorso Andrea Palladioの設計になるTeatro Olimpico(オリンピコ劇場)という世界最古の屋内劇場へと行ってみました。1580年にPalladioとその弟子が完成させたものですが、これにはちょっと驚きです。屋内ではありますが、まるでローマ古代劇場のような形状、装飾、雰囲気です。一度はここでオペラを聴いてみたいものですね。でも座席の大部分は板張りの段々の上に薄っぺらいクッションを置くだけのようでした。


Teatro Olimpico入口

Teatro Olimpicoへ

彫像がすごい

入口ホール

内部に入ります

ここが舞台

立ち並ぶ彫像がローマ古代劇場を思わせます


質素な観客席の後ろにも彫像


一度ここでオペラを楽しんでみたいですね

 Teatro Olimpicoを出ると目の前に見えるのが Palazzo Chiericati(市立絵画館)。1551年のPalladioの作品です。横幅のある建物に細めの柱を多用して優雅な感じを出しています。

  次に行ってみたのはSantuario di Santa Corona(サンタ・コローナ教会)は1261年に設立されたドメニコ派の教会です。外観は比較的質素ですが、内部には色々と見物があります。聖堂内陣(1489年)はルネッサンス様式で、その主祭壇(1669年)は特に豪華なもの。第三祭壇の絵画Adorazione dei Magi(東方三博士の礼拝)はLorenzo da Bolognaの制作(1573年)です。 キリストの茨の冠のトゲが納められている聖遺物箱(14世紀)もあり、年に一回一般公開されるようです。第五祭壇にはBellini(ベッリーニ)の手によるBattesimo di Gesu(キリストの洗礼)が豪華な祭壇の中にかかっています。


Palazzo Chiericati


Santuario di Santa Corona


聖堂内陣

豪華な主祭壇

第三祭壇のAdorazione dei Magi(東方三博士の礼拝)

キリストの茨の冠のトゲが納められている聖遺物箱(14世紀)年一回の御開帳

Bellini(ベッリーニ)の手によるBattesimo di Gesu(キリストの洗礼)


IOANNES BELLINUS(Giovanni Bellini)


回廊

 Santuario di Santa Corona(サンタ・コローナ教会)に隣接する修道院がMuseo Naturalistico e Archeologico di Santa Corona(サンタ・コローナ自然科学・考古学博物館)として公開されています。この地域のローマ時代の痕跡に興味があったので見てみました。


Museo Naturalistico e Archeologico di Santa Corona


ずんぐりしたアンフォラが多い(ローマ時代)


剣闘士のモザイク(ローマ時代)

建物が湾曲しているのはローマ古代円形劇場を利用しているから

  Palladio Museum(パッラーディオ博物館)です。Palladioの設計の妙が見て取れます。


Palladio Museum


Basilica Palladiana


ギリシャ・ローマ式の列柱を配するのがPalladio設計の特徴です

Palazzo Chiericati

  再び美しくて優雅なBasilica Palladianaの横を通って駐車場への戻ります。途中、Campanile della Cattedrale、Piazza del DuomoとMonumento a Vittorio Emanuele II、Cattedrale di Santa Maria Annunciata(13-16c)がありましたが、他の建物が豪華すぎたのであまり印象に残りませんでした。


Basilica Palladiana(右)とTorre Bissara(左)


Torre Bissaraの彫刻


Basilica Palladiana地上階のポルティコ

Basilica Palladiana地上階を横断できます


Scultura di Andrea Palladio


Campanile della Cattedrale

Piazza del DuomoとMonumento a Vittorio Emanuele II


Cattedrale di Santa Maria Annunciata