TOURNAI
トゥールネイ
2019.03.30

<概要>

 Tournaiは人口は約67,000人の地方小都市ですが、その歴史は約2000年前のローマ軍の駐屯地にさかのぼります。5世紀の西ローマ帝国消滅後にフランク族がここを占領し、フランク王国の初代国王となるClovis I はここで誕生しました。その後はフランドル伯、ブルゴーニュ公国、スペイン・ハプスブルク朝、イングランドなどの支配を受け、1830年のベルギー王国が成立に伴ってよりベルギー領となりました。

<見所>

 駐車場からL' Escaut(エスコー川)を渡って旧市街へと向かいます。雲一つない晴天で気温は20度もあってこの季節としてはかなり暖かな日です。真っ先にGrand Placeに向かってみると、広場はカーニバルの準備で忙しそうな雰囲気です。 Grand Placeに立つStatue de la Princesse Christine de Lalaing(クロスティーヌ妃の彫像)もカーニバル用に仮装が施されています。

 あまり人出が多くなる前にとCathedrale Notre-Dame de Tournai(ノートル・ダム大聖堂)を見に行きます。四角くて華麗でかつ威圧的な雰囲気の5本の鐘楼が印象的です。一方で大聖堂のファサード全体はどっしりとしたロマネスク調なのです。でもアーチや細かな装飾はゴシック様式です。12〜13世紀にけけて建設されたベルギーで最も壮麗な建築であり、この付近の教会堂建築に大きな影響を与えたそうです。身廊の長さは134m、翼楼の幅は66mとかなり大きなものです。当時は莫大な富と大きな権力を持っていた町なのでしょう。内部はステンドグラスが多用されていることから構造自体はゴシックのようですね。6世紀の初代司教聖エルテールにまつわる絵画、肖像などがありました。2000年にはユネスコ世界文化遺産に登録されています。


Grand Placeに立つStatue de la Princesse Christine de Lalaing(クロスティーヌ妃の彫像)が仮装されています

Grand Placeから見えるCathedrale Notre-Dame de Tournai

Cathedrale Notre-Dame de Tournaiのファサードはロマネスクっぽい

Cathedrale Notre-Dame de Tournai

これはゴシック調ですね

内部に大聖堂全体のモデルが、5本の四角い鐘楼がすごい

身廊から奥を

身廊からのファサードのバラ窓が奇麗です

豪華でち密な木製の説教壇

見事なトリビューン

  Cathedrale Notre-Dame de Tournaiを見終えてMusee d'Archeologie(考古博物館)へと行っていました。17世紀に建てられた旧公営質屋を転用したもので古く立派な建物です。本来だと開館している時間でしたが、カーニバルのせいなのか全く開館する様子は見られませんでした。

 館内には古代のガロ・ロマン期、その直後のメロヴィング期などの出土品を展示しているそうです。ローマ時代の出土品は山ほど見ているのでその後のメロヴィング期の出土品を見たかったのですが、見られなくて残念です。

 気を取り直してカーニバル準備で忙しそうなGrand Placeに向かいます。遠くからでも広場での音楽やアナウンスが聞こえています。


Musee d'Archeologieは休館

Musee d'Archeologie、本来は空いているはず

Grand Placeの花屋

 Grand Placeには仮装した人や山車がどんどんと集まってきます。ちょうどお昼頃だったので混む前にと早めにとGrand Placeに面したCafeで昼食。最初すいていたテラス席もどんどんとお客さんで埋まってゆきます。やはり早めが正解。


カーニバルの準備中

皆さんGrand Placeを目指して

Grand Placeがにぎわってきました

Grand PlaceのCafeで昼食

勝手気ままに仮装して歩いているようです

Cathedrale Notre-Dame de Tournai
 食事を終えてもカーニバルが始まらないようなのでL' Escaut(エスコー川)の東側へと渡ってみました。遠くから目立っていた比較的新しそうなEglise Saint-Brice(聖フリス教会)まで行ってみると、その横に天使と女性の不思議な像が立っていました。 Gabrielle PETITという女性の像のようです。第一次世界大戦中に赤十字に入会して負傷兵支援活動を行っていましたが、ドイツへの蛮行に我慢できなくなって情報機関に入り、コードネーム"Mademoiselle Legrand"としてドイツ軍へのレジスタンス活動を始めました。ドイツ軍に逮捕され1916年2月2日に死刑宣告を受け、4月1日に死刑が執行されました。銃殺の時、彼女は目隠しを拒み最後に"Vive la Belgique! Vive le Roi!(Long live to Belgium! Long live to the King!)"と叫んだそうです。私たちが知るべくもない、その土地土地にとって大切な歴史や誇りがたくさんあるのですね。

 またこの辺りには世界大戦の戦火を免れたヨーロッパでも最も古い民家(15世紀頃)が残っています。確かに黒っぽくて古そうですね。


Eglise Saint-Brice

Gabrielle PETITの像(第一次世界大戦中のジョセイレジスタンスらしい)

透光性のあるアラバスターに彩色して綺麗です

戦禍を逃れた古い民家

戦禍を逃れた古い民家

 もう一度Grand Placeへと戻ってみます。すでに大勢の市民でにぎわっています。どうやら何か決まったイベントがあるわけではなく、登録した個人やグループがそれぞれの趣向で仮装して集まって歩き回るような感じです。皆さん好き勝手にやってます。

 そうそうGrand Placeの端には高さ72mのベルギー最古の鐘楼があります。1188年、フランス王の許可が出て着工され、第2段目以上は13世紀の建造です。16〜19世紀に鋳造された43個の鐘がおさめられていて、夏期にはカリヨンコンサートが開催されます。 1999年にユネスコ世界遺産に登録されています。

 このほかにも見どころとして、Musee des Beaux-Arts (トゥルネー美術館) 、Musee de la Tapisserie et des Arts du Tissu(トゥルネー市タペストリー織物博物館 )などがありましたが、どうせカーニバルで休刊だろうと思って行ってみませんでした。「ベルギーとフランスの鐘楼群」の一部として、1999年に世界遺産に登録されています。


このあたりのCafeで仮装を見ながら昼食

ドンドンと人が集まってきます。

Beffroi de Tournai(鐘楼)

Grand Placeは大賑わいです


 L' Escaut(エスコー川)を渡って駐車場へと向かいます。川の下流には13世紀に築かれた市壁の名残であるLe pont des Trous(トル橋)が架かっています。1940年に英国軍により爆破され、1947年に修復工事が行われましたが、その際、船舶の通行を考慮して2.4m高く建造されました。


L' Escaut(エスコー川)にかかる13世紀のLe pont des Trous(トル橋)

車を運ぶ船

L' Escaut(エスコー川)にかかる13世紀のLe pont des Trous(トル橋)